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糖尿病の本当の原因とは   |    高血圧の基礎知識    |    骨粗鬆症のはなし    |    NPO法人 在宅医療サポート協会


【糖尿病とは?】
糖尿病は血糖値が高くなる病気です。
からだを動かすエネルギー源となるブドウ糖が血液の流れに乗ってからだの細胞に運ばれて、筋肉や臓器で使われます。血糖値というのは血液中にそのブドウ糖がどのくらいあるかを示すものです。糖尿病とはブドウ糖がエネルギーを必要としている細胞の中に運ばれなくなって、血液のなかにあふれてしまう病気です。これはインスリンというホルモンが足りなくなったり、うまく細胞に作用しなくなってしまうからです。
インスリンは体の中で唯一血糖を下げるホルモンで、食後に血糖が上がらないように調節する働きがあります。それに血液中のブドウ糖を体の細胞に送り込んで活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンに変えてエネルギーとして蓄える働きもあります。 
インスリンはブドウ糖のコントロールをしているので、インスリンが不足したりうまく作用しないとブドウ糖が細胞に取り込まれなくなって血液中のブドウ糖が使えなくなってしまうのです。そうなると筋肉や内臓にエネルギーが運ばれないから、全身のエネルギーが足りなくなってしまうのです。
【糖尿病の種類】
糖尿病にはいくつかのタイプがあり、1型糖尿病、2型糖尿病、遺伝子異常や他の病気や薬剤の作用によるもの、妊娠糖尿病があります
  1. 1型糖尿病

膵臓のβ細胞というインスリンを作る細胞が破壊され、体内のインスリンの量が絶対的に足りなくなって起こる。子供のうちに始まることが多く以前は小児糖尿病やインスリン依存型糖尿病と呼ばれていた。

  1. 2型糖尿病

インスリンの出る量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなる(インスリンの働きが悪い)ためにブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こるものがある。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。わが国の糖尿病の95%以上はこのタイプ。

  1. 遺伝子の異常や他の病気が原因となるもの

遺伝子の異常や肝臓や膵臓の病気・感染症・免疫の異常などのほかの病気が原因となって糖尿病が引き起こされるもの。薬剤が原因となる場合もある。

  1. 妊娠糖尿病

妊娠中に発見された糖尿病。新生児に合併症が出ることもある。

日本の糖尿病の95%を占める2型糖尿病の原因は食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が多いです。 
平成9年の糖尿病実態調査によると「糖尿病が強く疑われる人」の690万人と「糖尿病の可能性を否定できない人」の680万人を合わせると全国に1,370万人いると推定されています。でも糖尿病で治療を受けている人は約212万人(平成11年患者調査による総患者数)しかいません。
この差は糖尿病ははじめのうち痛みなどの自覚症状がない為、検査で血糖値が高かったり、治療が必要といわれたことがあってもそのまま治療を受けない人が多いためと考えられています。  糖尿病で亡くなる方も年間で1万人くらい(平成12年人口動態統計)いますので、軽視は禁物です。

【糖尿病の合併症】
また、糖尿病のもう一つの大きな問題は合併症です。糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人は年間1万人以上になりますし糖尿病が原因の視覚障害の発生も年間約3,000人になります。 
糖尿病には、脳梗塞・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病腎症・下肢閉塞性動脈硬化症・糖尿病網膜症・皮膚の病気・感染症・糖尿病神経障害といった慢性合併症があります。  この他、高血圧や高脂血症のある人や腎臓病のある人が糖尿病になるとそれらの症状を悪化させます。また、上記のうち糖尿病特有の合併症は3大合併症といい、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症のことになります。糖尿病に特有の合併症で血糖コントロールをしないでいると糖尿病発症時から10~15年でこれらの合併症が出てきます。
【糖尿病網膜症】
目の底にある網膜という部分の血管が悪くなり視力が弱まり、中には失明する場合もあります。白内障になる人も多いといわれています。
【糖尿病腎症】
尿を作る腎臓の糸球体という部分の毛細血管が悪くなり、だんだん尿が作れなくなります。すると人工透析(機械で血液の不要な成分をろ過して、機械で尿を作る)を受けなくてはいけなくなります。週に2~3回病院などで透析を受けるようになるので、日常生活に大きな影響を及ぼします。現在、人工透析になる原因の1位がこの糖尿病腎症です。

糖尿病にかかりやすいかどうか、チェックしてみましょう。
年齢の問題などもありますが、殆どが生活習慣の問題です。


□太っている

□野菜や海草類をあまり食べない

□食べ過ぎている

□朝食は食べない

□お酒をたくさん飲む

□ドリンク剤をよく飲む

□おやつは必ず食べる

□運動不足である

□脂っこいものが好き

□ゆっくり休めない

□甘いものが好き

□ストレスがたまっている

□夕食が遅くドカーンと食べる

□太っている

□40歳以上である

□食事時間が不規則

□妊娠中に血糖値が上がったことがある

□家族や親戚に糖尿病の人がいる


糖尿病になっているかどうかチェック
糖尿病はかかっていることに気付かない場合もあるのでかかっていないかもチェックしてみましょう。

□このごろ太ってきた

□下腹部がかゆい

□食べても食べてもやせる

□手足がしびれたり、ピリピリしたりする

□とても喉が渇く

□視力が落ちた気がする

□食欲がありすぎていくらでも食べられる

□立ちくらみがある

□尿の回数が増えて、量も多い

□甘いものが急にほしくなる

□尿のにおいが気になる

□ちょっとしたやけどや傷の痛みを感じない

□全身がだるい

□おしっこが出にくく、出ても残った感じがする

□疲れやすい

□足がむくむ、重くなる

□肌がかゆく、かさつく

 
【糖尿病の検査】
糖尿病の検査には、次のようなものがあります。
1.ふだんの血糖値を測る
2.朝、何も食べていないときの血糖値を測る
3.ブドウ糖を飲んだ後の血糖値
この3つのどれかに異常値が出たら別の日にもう一度検査をします。
そしてまた異常値が出たら、糖尿病と診断されます。
※検査のくわしい基準などは日本糖尿病学会のホームページをご参考下さい。

検査結果を見て糖尿病だと判断されたら、血糖値や初診時の合併症の程度、肥満しているかどうかなどを総合的にみて、治療の方法が決められます。
まだ血糖値があまり高くなくて合併症もない場合、薬は使いません。定期的に検査をして血糖値が高くなっていないかどうかを調べるだけになります。血糖値のコントロールができるようなら、日常生活は全く問題ありません。もちろん肥満や高脂血症があればそれらを改善するための治療が必要になります。 

糖尿病の検査は職場や地域で行っている健康診断に含まれています。自分が所属している職場で健康診断を受けられない場合でも40歳以上の人なら住んでいる市区町村で健康診査を行っています。 
健康診断は毎年必ず受けるようにし、結果を保存しておいて年ごとの経過が分かるようにしておくことも大切です。

糖尿病ははじめが肝心です。検査で血糖値が高いといわれたら、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。そして定期的に血糖値の検査を受け、食事や運動など日常生活についての指導を受けましょう。 
血糖値が安定してきても検査や治療を受けなくなってしまうと、知らず知らずに血糖が上昇して合併症を併発してしまいやすくなります。 
一度糖尿病と診断されたら、定期的に検査を受けて血糖のコントロールが出来ているかどうかを確かめることが大切になります。血糖値は一度下がっても生活習慣が乱れるとまた上がってしまいますし、放っておくと知らず知らずのうちに合併症を発症することもあります。いずれにしても必ずお医者さんの指示に従うことが大切です。

【太っていると糖尿病になりやすい?】
平成9年に行われた「糖尿病実態調査」でも今までに一番重かったときの体重が重い人ほど糖尿病にかかりやすいことがわかっています。 
肥満の基準にはBMI(ボディー・マス・インデックス)という基準が広く使われています。これは病気が一番少ない体重を統計的に割り出したものでBMIが22の時、最も病気にかかりにくくなると言われています。  肥満は糖尿病だけじゃなく、色々な生活習慣病の原因になります。肥満を防ぐことは色々な生活習慣病を防ぐことともいえます。そのためには食事と運動のバランスが大切です。
【糖尿病を防ぐ食事とは】

べ過ぎないことと、栄養のバランスをとることが大切です。それにはまずふだんの食事でこんなことに気をつけましょう。
 
①野菜はたっぷりとろう
野菜に含まれる食物繊維は肥満を防ぐ働きをします。健康日本21では国民の健康づくりのために野菜を1日に350g(写真参照)以上とり、このうち緑黄色野菜を120g以上とることを目標としています。
②食事は決まった時間に、時間をかけて食べよう
朝食を抜いたり食事時間が不規則だったり、寝る前3時間の間に食べるのはよくありません。ゆっくりよくかんで、時間をかけて食べましょう。
③甘いものや脂っぽいものは食べ過ぎない
甘いものや脂っぽいものは太りやすい食品です。食べ過ぎに気をつけましょう。
④ひとり分ずつ、取り分けて食べよう
大勢で大皿から食べると、どのくらい食べたかわかりづらい為たくさん食べてしまいがちです。
⑤薄味にしよう
濃い味のおかずはごはんをたくさん食べてしまいがちです。素材の味をいかした薄味料理にしましょう。
⑥ながら食いはやめよう
テレビを見ながら、新聞を読みながらといったながら食いも、食べた量がわかりづらいもの。またよく味わえない為満足感もありません。
⑦多いときは残そう
多いと感じたら無理せずに残しましょう。
⑧お茶碗は小ぶりのものを
お茶碗を小さくすると、1膳の量が少なくなるため、食べ過ぎを防げます。
⑨調味料はかけずにつける
マヨネーズやドレッシングは油が多く太りやすい食品です。醤油などの塩分は高血圧の原因になり糖尿病を悪化させます。直接料理にかけず小皿にとってつけましょう。
⑩食品のエネルギーを知ろう 毎日食べるものがどの位のエネルギーなのかを知り食品を選ぶときや食べる時の参考にしましょう。

【糖尿病を防ぐには適度な運動も必要】 
糖尿病は食事だけじゃ防げません。運動をしないと筋肉はやせて体重が少なくても脂肪の多い体になります。これを「かくれ肥満」と言いますが、かくれ肥満になると基礎代謝が減ってしまいます。基礎代謝とは何もしない時でも体が必要とするエネルギー量です。かくれ肥満だと同じ身長・体重の人が同じ分量の食事をとっても使うエネルギー量が少ないから、脂肪になる分量が多くなってしまうのです。 
そこで運動をすることで体についた中性脂肪を減らしたり、筋肉をつけて基礎代謝の多い体を作ることが大切です。病気を防ぐ運動には体がきついと感じるほどの運動は必要ありません。スポーツに限らず下のような工夫をしてみましょう。 

運動の工夫
●外出するとき、少しだけ早めに歩く
●遠回りして歩く距離を増やす
●買い物は歩いて、買いだめをせずこまめに行く
●3階までなら階段を使う
●1日1万歩を目標に歩く
●週に1度くらいは隣の駅まで歩いてみる
●周囲の風景などを楽しみ、観察しながら歩く
●テレビを見ながらストレッチをする
●泳げなくても水中を歩く
※運動する時間は1日に20~30分位が目安です。 一度の時間が5~10分と短くても大丈夫です。慣れれば続けられるようになります。
【糖尿病の治療】 
糖尿病は軽度なら食事療法と運動療法になりますが、進行したら薬物療法が必要になります。治療を始める時には糖尿病教育を目的に入院することもあります。 
糖尿病と診断されてしまったら日常の生活強度に合った食事をする必要があります(食事療法)。食べてはいけないものはありませんが、自分にあった分量の食事で必要とするすべての栄養素をとるように工夫します。バランスのとれた食事になるので、家族と一緒に食べられます。
①食事療法
1日に食べる量は、お医者さんから指示を受けますが、目安としては、次のとおりです。
総エネルギー量 = 標準体重 × 仕事別消費カロリー (標準体重1kgあたり)

 

仕事別消費カロリー

事務職、主婦

25~30kcal

中程度(製造・販売業、自営業の主婦など)の労働に携わる人

30~35kcal

重労働(農・漁業、建築業など)に携わる人

35kcal

エネルギー量の計算は、80kcalを1単位として計算する方法が簡単で一般的です。「糖尿病食事療法のための食品交換表」(文光堂)に、詳しい方法が紹介されています。
②運動療法
予防の為の運動とは違い糖尿病と診断されたら、運動療法でも医者の指導に従って自分にあった運動メニューを作ります。その基本となるのはだいたい次のとおりです。

●ひとりでできる運動を選び、毎日同じだけ行う
毎日のことなので場所を選ばずいつでもどこでもできる運動を選びましょう。毎日行うのが無理でも2日に1日は行います。

●ウォームアップとクールダウンを
運動は1日30分が目安で、朝晩2回に分けてもかまいません。運動を行う時はゆっくりスピードを上げて(ウォームアップ)、終了時はゆっくりスピードを下げていきます(クールダウン)。ウォーキングにする場合1回15分~20分を目安にして、1日1万歩を目安にしてもいいでしょう。

●運動の強さは、きつすぎず、楽すぎず
「少し汗ばみ、隣の人とラクに会話ができる程度」が運動の強さの目安です。運動の後、とても疲れてしまうようならセーブしましょう。

●食後1~2時間後に行う
こうすると食後の血糖上昇が抑えられます。

●運動日誌をつける
運動習慣を身につける為と運動によって体調が悪くなることを防ぐ為に最初は日誌をつけましょう。   ※糖尿病の場合急に激しい運動をしてはいけないし、運動量が足りなすぎても効果がないので医者の指導に従い、勝手に内容を変更しないことです。

 
【薬物療法はどんな人に必要】
主な薬物療法は血糖を下げるための血糖降下薬という飲み薬と、インスリンがほとんど分泌されない人や不足の人のためのインスリン注射になります。薬物療法が必要になるのは、まず1型糖尿病の人です。1型だと体内でインスリンを作れないので、必ずインスリン注射が必要になります。インスリン注射は小学生位から、自分でできます。それ以外の型でも食事療法や運動療法を続けても効果が現れない場合薬物療法を行います。どちらも医者に相談しないで勝手にやめたり、多く使ってはいけません。また薬を飲み始めて調子が悪くなったら、必ず医者に相談しましょう。
初めて糖尿病の治療を始める時に糖尿病とはどんな病気かを正しく理解する為に、1~2週間位入院して体験学習することがあります。病気についての知識を学ぶだけでなく食事療法のためのエネルギーの計算の仕方や、バランスのとれた食事メニューの作り方を身に付けます。ここで糖尿病治療の基礎をきっちり学んで、習慣をつけておけば後で楽になります。
糖尿病というのは自己管理がとても大切な病気です。逆に自己管理さえできていれば普通の人と変わらない生活が出来ます。生活習慣がとても大切だからなっていない人もなってしまった人も改めて自分の生活を見直してみましょう。

【高血圧とは?】

高血圧とは血管に強い圧力がかかり過ぎている状態のことをいいます。血液が血管の中を通る時血管にかかる圧力のことを血圧といい、心臓は、ポンプのように毎分60~70回位血液を血管へと押し出しています。心臓が収縮して血液を押し出した瞬間は血管に一番強く圧力がかかり、これが収縮期血圧(最高血圧)です。そして収縮した後に心臓がひろがる(拡張する)時には圧力が一番低くなり、これが拡張期血圧(最低血圧)です。収縮期血圧と拡張期血圧のどちらが高くても高血圧といいます。血圧は心臓が送り出す血液の量(心拍出量)と、それを流す血管の通りづらさ(末梢血管の抵抗)とで決まってきます。
具体的にいくつから高血圧というかというと日本高血圧学会(JSH)では、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧として「軽症」「中等症」「重症」の3段階に診断・分類分しています。ここで注意すべきは血圧が高い状態が持続することが問題となるのであり、運動時や緊張した場合などの一過性の高血圧についてのことではないということです。高血圧の診断基準は数回の測定の平均値を対象としていますので、運動や精神的な興奮で一過性に血圧が上がるのは生理的な反応であり、これは高血圧の概念とはまた違うものです。また、高血圧かどうかは自分一人で判断せず、必ず医師に判定してもらう方が良いでしょう。
日本高血圧学会では高血圧の基準を以下のように定めています。


分類

収縮期血圧(mmHg)

拡張期血圧(mmHg)

至適血圧

<120 かつ <80

正常血圧

<130 かつ <85

正常高値血圧

130~139 または 85~89

軽症高血圧

140~159 または 90~99

中等症高血圧

160~179 または 100~109

重症高血圧

≧180 または ≧110

収縮期高血圧

≧140 かつ <90


ではどうして高血圧が起こるかというと、さまざまな原因があります。その中ではっきりと原因がわかる高血圧を二次性高血圧(症候性高血圧)と言いますが、これは全体の1割もありません。日本人の高血圧の大部分は原因が特定できない高血圧でこれを本態性高血圧といいます。また高血圧には特有の自覚症状がありません。その為定期的に血圧を測っていないと高血圧を発見することは難しいのです。放置すると動脈硬化になったり、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中などの発作を起こす恐れがあります。症状が殆どないままに長年かかって密かに血管を蝕んでいくため「サイレント・キラー」とも呼ばれる恐ろしい病気です。
【高血圧になるとなにが悪いの?】

心臓病や脳卒中を引き起こしやすい

血管を流れる血液の圧力が高くなると常に血管に刺激がかかって、動脈(酸素を届ける血管)が傷みやすくなるのが大きな問題です。それと同時に血液を高い圧力で送り出さねばならず、心臓が多くのエネルギーを必要とし疲れやすくなります。

  1. 腎臓にも負担がかかってくる

心臓病や脳卒中の陰に隠れて意外に知られていないのが、腎臓も動脈硬化の影響を大きく受ける臓器ということです。腎臓は、血液の中からいらない老廃物や有害なものを濾過してとりだし、それを尿にして体外に出すという働きを持っている臓器です。その為腎臓の本質部分は毛細血管のかたまりのようになっています。だから動脈硬化が起こって血液の流れが悪くなると、腎臓の働きはぐんと落ちてしまうのです。
高血圧の治療が進んで昔にくらべれば腎臓病になる確率は減っているものの、高血圧の人が長生きするようになっています。なので、今でも人工透析を受けている人の原因の第3位は高血圧などによる腎硬化症(2002年/不明分を除く)で1993年からの10年間に2.5倍に増加しています。

【高血圧になりやすい人】
人を高血圧になりやすくする危険因子としては遺伝・肥満・耐糖能異常(糖尿病予備軍)・ストレス・喫煙・塩分の多い食事・飲酒の習慣などがあります。これらを多く持っている人ほど高血圧になりやすいといえるでしょう。
両親がそろって高血圧の場合、その子が高血圧になる確率は約50%、片親だけが高血圧の場合には子が高血圧になる確率は30%前後というデータもあり遺伝性があるのは確かですが、確率が50%であれば両親ともに高血圧であっても、子が高血圧になるかならないかはむしろその他の環境的な要因が大きくかかわってくることになります。危険因子をなくせば高血圧にならないですむというわけです。その逆に親が高血圧でなくても子が高血圧になることもあります。親にも高血圧の体質はあったものの環境因子が整っていて現れずにいた場合には、子どもが不摂生な生活をすれば高血圧になる可能性が高くなります。
■高血圧になりやすいかチェック
濃い味つけのものが好き
野菜や果物はあまり食べない
運動をあまりしない
家族に高血圧の人がいる
ストレスがたまりやすい
お酒をたくさん飲む
たばこを吸う
血糖値が高いといわれたことがある
炒めものや揚げものや肉の脂身など、あぶらっぽい食べ ものが好き
    • ※チェックの数が多いほど、高血圧になりやすいので、注意が必要です。
【高血圧を改善するには】
高血圧を改善するにはまず食事を含めた生活習慣を変えることです。
  1. 食事

1食塩量を減らすことから始めよう
食塩をとり過ぎると血圧を上げることは多くの研究や統計などから指摘されてきたことで、1998年に報告されたわが国を含めた世界32か国の1万人あまりを調査したINTERSALT研究の結果でも食塩を多く摂っている人ほど血圧が高いということが指摘されています。食塩を多く取るとだれでも高血圧になるというわけではありませんが、食塩を摂り過ぎると胃がんになりやすいですし減塩は左心室肥大という心臓の病気やたんぱく尿の程度を軽くする、動脈の柔軟性を高める、降圧薬の効果を高める、ナトリウム排泄に使われるカリウムが失われるのを防ぐなどのよい点が多くあります。今、日本人に勧められている1日の塩分摂取の目標値は10g未満。ですが高血圧患者ではもっと厳しくて、日本高血圧学会の定めた目標では1日7g以下(高血圧治療ガイドライン2000年版)となっています。また、高血圧の人が調味料として使ってよい塩分の量は、1日の塩分摂取量7gのうち4g以下(高血圧治療ガイドライン2000年版)となっています。

2カリウムを取って塩分を排出することも大切
塩分(ナトリウム)は鉄やカルシウムと同じミネラルの一種ですが、ミネラルは適量取ると体の調子を整える働きがあります。ですから多すぎても少なすぎても健康を維持するためには好ましくありません。特にミネラルはバランスがとても大切で、特定のミネラルを多くとると他のミネラルやビタミンなどとのバランスを崩し健康を損なってしまいます。そこで体内の余分な塩分を排泄する作用があるカリウムが重要になってきます。高血圧の人は塩分をとる量を少なくするとともに、カリウムをしっかりとることが重要です。

  1. 日常生活

1.肥満を防ぎ適正体重を維持する
肥満は、高血圧と深い関わりがあります。肥満かそうでないかの判定は、BMI(ボディー・マス・インデックス)という基準を用いることが多く、肥満が大きな危険因子であることは多くの研究や調査で明らかになっています。特に皮下よりも内臓に脂肪がつく内臓肥満(上半身型肥満・リンゴ型肥満)が血圧の上昇と関連が深いです。こうした肥満者が体重を減らすと実際に血圧が下がるという報告があります。
それに肥満は血圧を上げるだけでなく肥満自体が心血管病の危険因子の一つなので、肥満していて高血圧の人は体重を標準体重近くにすると、血圧や高脂血症・高尿酸値・血糖値なども適正値に近づく可能性が高くなります。肥満というほどではなくても、毎年少しずつ肥満に近づいている人は、今のうちに標準体重を守る生活習慣を身につけるようにしましょう。

2適度な運動も必要
現代人の肥満は食べすぎとともに運動不足が大きく関わっているので、太っている人は運動不足ということが多いです。普段から体をよく動かす習慣のある人には肥満の人が少ないし、コレステロールや中性脂肪などの血清脂質も適正で心血管病の危険因子が少ないです。また運動によってインスリンのはたらきが改善されるので糖尿病になりにくくなる効果もあります。
普通、運動をしている最中は血圧が上がります。体が暖かくなって、頬が赤くなるのは血液循環がよくなって血流量も増しているためで、この時には血圧が上がっています。ところが一般的には運動習慣のない人の血圧のほうが、運動習慣のある人に比べて高くなっています。そして酸素をたくさん使う運動(有酸素運動)は長期間くり返して続けると、血圧を下げる作用があることがわかっています。
勧められる有酸素運動はウォーキングや軽いジョギング、平らなところでのサイクリング、ゆっくりと長い距離を泳ぐなどです。こうした運動を継続して行うと長期には高血圧の人は収縮期も拡張期も血圧が下がってくるようになります。
また、重量上げや懸垂などのように筋肉が収縮したまま動かないような運動は、息を詰めてする無酸素運動なので高血圧の人には大変危険です。ゴルフは自然のなかでよく歩くので運動としてはいいのですが、パターなど最後に勝敗が決まるときには血圧が驚くほど上がります。人と勝敗を争うスポーツは高血圧の人には向いていないでしょう。競争せずにマイペースで楽しんで続けられる運動であることが大事です。
高血圧の予防・改善に運動がいいといってもやってはいけない人もいますのでかかりつけ医に相談したり、専門的な「運動OK」のお墨付きをもらってから始めるようにしましょう。
まず重症高血圧の人、それからすでに心臓や血管に病気が起こっている人、特に心不全・虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)・脳卒中などの心血管病がある人は、運動中の血圧上昇によって発作が起こる可能性があるので厳重な注意が必要です。
また腎臓に機能障害がある人も運動が制限されることがありますので、主治医に運動してもよいかどうかを相談する必要があります。
運動OKといわれて始めることになった際に毎日の運動を始める時に注意することは必ずウォーミングアップをしっかりすることです。体を温めて運動への準備をするとともにケガを防ぐ効果もあります。その運動をする時によく使うからだの部分をストレッチで伸ばすのが基本です。ウォーキングのような軽い運動でも甘く見ないでストレッチを十分に行ってから始めましょう。
高血圧の改善や予防など健康の為に運動をする時には1週間に1回まとめて長い時間やるよりも、1日30~45分ぐらい行うことが勧められています。無理して長くやらずに続けることが大事です。従来はウォーキングなどでも1回に20分以上まとめてやらないと運動効果はないと考えられていましたが、最近では細切れであってもやりつづけることが大事だといわれています。
早歩きを通勤時の往復に10分ずつ、昼休みに15分やればりっぱな運動になります。このような軽い運動でも続けると10週間ぐらいで半数の人が収縮期血圧で20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上の降圧効果が認められるそうです。

3ストレスや急激な温度差にも要注意
「そんなに怒ると血圧が上がるよ」などとよくいいますが、怒り・悲しみ・緊張が続くなどによるストレスを「情動的ストレス」といい、このストレスは血圧を上げるという報告がある一方、ストレスと高血圧の関係を証明できなかったという報告も多くあります。しかし情動的ストレスが少なくとも一時的に血圧を上げることは間違いない事実ですし、私たちはそれを経験的にも知っていると思います。
なので、高血圧の予防にはかかったストレスはなるべく早く解消し心身ともにリラックス状態になるようにしましょう。どんなものでもいいので自分なりのリラックス法を見つけて実行するのがいいでしょう。
また、寒さが血圧を上げることは多くの研究や調査で明らかにされています。季節による血圧変動を見ると冬に高くなっていますし、心血管病による死亡率も冬にいちばん高くなっています。ですから高血圧の人は冬の寒さを避ける努力をしなければなりません。部屋だけでなく廊下やトイレ・浴室も十分に暖かくし、部屋ごとの温度差を少なくした方がいいでしょう。お風呂は熱い湯を避けて長湯をしないことが重要です。室温は20℃ぐらいにして、38~42℃くらいの湯に5~10分間入るくらいにとどめた方がいいでしょう。高血圧の人は、冷水浴やサウナは危険です。

○規則正しい生活が基本●
塩分を減らすこと・肥満を解消すること・適度な運動を習慣にすること以外にも、高血圧予防のために気をつけてほしいがいいことを下記に挙げてみます。高血圧は多くの要因が重なってあらわれてくる症状なので、一つでも要因を減らすことが高血圧を下げていくことや予防につながります。

  1. できるだけ規則正しい生活を送る。特に十分な睡眠をとると夜に血圧を下げて、心臓や血管の負担を減らす。
  2. 循環器病の最大の危険因子の一つであるたばこをやめる。
  3. 便秘の時のいきみは血圧を上げるので便秘解消に努める。
  4. 高脂血症を伴うと動脈硬化が進みやすいので、肉の脂身やバター・卵類などコレステロールや飽和脂肪酸の多い食事は控える。

高血圧治療の目的は血圧を下げることそのものではなく、将来の心臓や血管の病気とそれらの結果としての虚血性心疾患や脳卒中を防ぐことにあります。これまでに様々な国で行われた試験の結果、適切な降圧治療(高血圧の治療)は高血圧患者に多くの有益な効果をもたらすことが明らかになっています。高血圧だと診断されたら自覚症状がないから平気だなどとも思わずに早く治療を始めたほうがいいでしょう。
高血圧だけでなく糖尿病や高脂血症・肥満など心血管病の多くのリスクをもっている人は治療を受ければより大きな効果が得られます。もちろん軽症の人もすぐに治療を始めれば薬を使わずに血圧を下げることができますし、その後適正な血圧を維持することだって可能かもしれません。高血圧と診断されたらすぐに治療を始めましょう。
高血圧の人が腎不全や心不全、糖尿病など他の病気を持っている場合にも高血圧と並行してそれらの治療が進められます。多くの生活習慣病は表面にあらわれた病気は違っていても、危険因子のいくつかは共通しているので並行していくつかの病気を治療していくことはそんなに難しくないことが多いのです。
本態性高血圧になったり、それが進んだりする時には遺伝因子とともに環境因子が複雑にからみあっています。だから治療を進めるときにも環境因子の多くを占めている生活習慣の改善を抜きにして考えることは出来ません。実際に生活習慣が改善されると血圧を下げる効果があることもわかっています。生活習慣で改善しなければならない主な項目は、次のとおりです。

  1. 食塩摂取量を制限する
  2. 適正体重を維持する
  3. アルコール摂取量は適量にする
  4. 適度な運動療法をする
  5. 禁煙
  6. 脂質(飽和脂肪酸やコレステロール)の摂取量を制限する
では具体的にどのように改善すればいいかは【高血圧を改善するには】をご覧ください。「高血圧を防ぐ食事、生活」にかえれば予防できるだけでなく、特に軽症高血圧の人は正常範囲まで血圧を下げることができます。また、生活習慣をしっかり改善すれば高血圧ではあっても薬を軽い種類に変えていったり、用量を減らしていったりすることができる可能性もあります。 日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2000年版によると具体的な治療は血圧がどの程度高いのかと、高血圧以外の心血管病のリスクがどのくらいあるかによって3つに分けられそれぞれ違っています。
例えば低リスク群は生活習慣改善を治療の中心としますが、生活の改善を6か月続けても血圧が140/90mmHg未満に下がらない場合には、薬による治療が併せて行われるようになります。中等リスク群もまず生活習慣の改善から取り組みますが、低リスク群より早く3か月後に140/90mmHg未満に下がらない場合には、降圧薬治療を合わせて行っていきます。高リスク群と重症血圧患者は高い血圧のまま放置すると危険な為、初めから生活習慣の改善と薬物療法を同時に始めます。

■高血圧患者のリスクの層別化  

 

軽症高血圧
(140~159
/90~99mmHg)

中等症高血圧
(160~179
/100~109mmHg)

重症高血圧
(≧180
/≧110mmHg)

危険因子なし

低リスク

中等リスク

高リスク

糖尿病以外の危険因子あり

中等リスク

中等リスク

高リスク

糖尿病、臓器障害、心血管病のいずれかがある

高リスク

高リスク

高リスク

薬を飲み始めても、生活習慣の改善をしなくていいということはありません。それほど悪い生活習慣を改めることは高血圧の治療改善にとって大事なのです。生活習慣を改善することは血圧を下げるだけでなく、ほかの心血管病のリスクを下げることにもなります。すべての高血圧患者の治療は生活習慣の改善が大前提となっています。

【骨粗鬆症とは】
日本では2010年に骨粗鬆症の患者さんは約1250万人となり人口の約1割、六十五歳以上の2人に1人が骨粗鬆症になると言われています。
骨粗鬆症と寝たきりは密接な関係があります。
加齢や閉経(女性の場合)により、骨粗鬆症が進むと身長が低くなったり、背中が曲がり姿勢が悪くなります。そのため歩行に支障をきたしたり、運動がうまく出来なくなってきます。
また、骨粗鬆症のために脊椎の圧迫骨折を起こすと、急性期の強い腰背部痛とその後の慢性的な痛みにより、急速な筋力の低下やバランスの悪化をきたします。こうして、生活の中で運動不足の状態となり、さらなる骨量の減少、運動機能の低下が進み、最終的には寝たきりになってしまうわけです。
また、転倒により大腿骨頚部骨折を起こせば手術が必要になることが大半で入院や臥床時間の増加によって文字通り寝たきりになってしまいます。
こうした骨粗鬆症による寝たきりを防ぐためには、早くから骨粗鬆症の検査を受け、適切な治療を受けること、また運動機能が低下しないように散歩や体操など毎日出来る運動を心がけることが大切です。
【骨粗鬆症とは】
骨粗鬆症とは骨量が減り骨組織の微細構造が異常を起こし、その結果骨が脆弱になり骨折しやすくなった状態といわれています。骨の中では常に骨代謝が行われています。骨吸収の主体となる破骨細胞(古くなった骨を壊していく細胞)と骨形成を行う骨芽細胞(新しく骨を作る細胞)があり、普段はこの骨吸収と骨形成のバランスが維持され骨量が保たれています。しかし、加齢や閉経により骨吸収が骨形成を上回ってしまうとバランスが崩れ骨量が減少し骨粗鬆症となります。
【骨粗鬆症の診断】
病院では医師の診察とX線検査及び骨密度の測定により骨粗鬆症を診断します。現在、骨粗鬆症の診断と治療はガイドラインにより世界中ほぼおなじ
基準で行われています。骨密度の測定にはX線を用いたMD法、DXA法と超音波を用いた方法が主に行われています。この中で超音波を用いた方法はどこでも簡便に行えるため検診などに主に使用されていますが、踵などの末梢の骨で検査するため精度が落ちます。
DXA法の中でも腰椎と大腿骨頚部で測定する場合が最も信頼性が高くグローバルスタンダートとなりつつありますが、日本では測定機械が大きいためどこの医療機関でも検査できるわけではありません。
ともあれ自分の骨密度がどの程度なのかをいずれの検査でもよいのでまず知っておくことが大切です。
【骨粗鬆症の治療と予防】
骨粗鬆症の治療には食事と運動、そして薬物治療があります。
食事はバランスのとれた食事を取ることが大切ですが、目標としてはカルシウムを一日一五〇〇㎎とビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)が豊富に含まれた食物(魚、卵、干し椎茸など)を取るようにしましょう。運動は骨粗鬆症の予防にはとても有効で、運動による刺激は骨を強くし、バランス訓練にもなるため転倒の防止にもなるわけです。
運動の方法は一人一人の状態にあったものを選ぶ必要があるので主治医の先生にご相談ください。
また予防には大腿四頭筋訓練、椅子からの立ち上がり訓練などが有効です。
最後に薬物治療ですが現在日本では大きく分けて2種類の治療薬があります。骨吸収を抑えるものと骨形成を促進させるものです。
これらの薬は骨粗鬆症の程度や患者さんの状態により医師が選択します。投与方法も様々あり、内服薬で毎日服用もしくは週1回服用するものや筋肉注射で週1回投与するものもあります。骨粗鬆症の治療薬は日々進歩しています。
日本や全世界で新薬の治験が盛んに行われ、今後もより効果的な新薬が生まれてくることと思われます。

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